申請しないと罰則・罰金!? 解体工事の事前申請はお早めに
2021.3.29
住宅街などでよく見かける綺麗に整備された土地や、月極駐車場などは元来そこに建物があり、古くなったり使用しなくなったことから解体して違う形で生まれ変わったものがほとんどです。
中には解体されずにそのままの状態、空き家の状態で残っている物件も多数あります。
総務省統計局が2019年4月に発表した、日本の住宅・土地統計調査では約846万戸に上る空き家があることが明らかになっています。
しかし、空き家だからといって身勝手に解体できるわけではありません。新しい整備された土地や、住宅、ビルなどを建てるためには解体工事前の様々な手続きをしなければなりません。
それを怠ってしまうと、罰金を科せられる場合もあるので、手間がかかる手続きでもしっかり行っておく必要があります。
今回は、解体工事を行う際に【必要な書類】と【どこに届けるのか】、そして【申請しなかった場合】の3つに分けて説明します。
1.解体工事に必要な書類とは?提出は前もって行いましょう。
まず、解体工事前に提出しないといけない書類は全部で6種類あります。
【提出が必要な書類】
- ・アスベスト除去の届出
- ・特定建設作業の届出(振動や騒音)
- ・建設リサイクル法に関する届出
- ・ライフラインの停止
- ・道路使用許可申請(申請が必要な現場のみ)
- ・建築物除却届
その他にも地域の自治体によって細かな書類が必要な場合もあるので、事前に調べておくとスムーズに準備できると思います。
さて、それぞれ「提出期限は何日前まで?」「第三者への委任は可能なの?」など気になる点も多いのではないでしょうか。
そのような点も含めながら一つずつ説明したいと思います。
①アスベスト除去の届出
アスベストとは、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」と呼ばれているものです。アスベストの繊維は、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性がWHOによって報告されています。
ただアスベストが含まれている建物もあれば、使用されていない建物もあるので、事前に解体業者や専門機関に調査してもらうことをおすすめします。
提出期限は解体工事着手の14日前までとされています。
申請は、原則として施主・解体業者が行うことになっていますが、第三者への委任も可能です。
第三者へ委任する場合は費用がかかるので事前に確認しましょう。
②特定建設作業の届出(振動・騒音)
特定建設作業の届出は、地域ごとに定められている騒音規制法や振動規制法があるので、まずはその2点を確認しましょう。
確認した上で、定められた法の条件に該当する場合は特定建設作業の届出を提出しなければいけません。
提出期限は地域によって異なるみたいです。基本的に、7日前に提出するようにと定められている事例が多いです。届け日と工事開始日はふくまれないので計算して期限内に提出しましょう。
こちらも提出者は原則として施主・解体業者が行うことになっていますが、第三者への委任も可能です。
委任した場合の詳しい費用等も知っておきましょう。
③建設リサイクル法に関する届出
ここでまず、建設リサイクル法とは何か簡単に説明しておきましょう。
〇 建設リサイクル法とは?
特定建設資材の分別解体とリサイクルを義務付けた法律です。
施行されたのは2002年で主な内容を3つにまとめると以下の通りです。
・建築資材の分別解体と建築資材廃棄物の再資源化などの義務付け
・工事の事前届出などの義務付け
・解体工事業者の登録制度や技術管理者による監督
建設リサイクル法で適用される建物の大きさは、80平方メートル以上。
特定の建築資材には、コンクリート、プレキャスト版、木材、アスファルト・コンクリートなどが対象となっています。
また、規模が500平方メートル以上の新築の建築物にも適用されます。命令を違反したり手続きに不備があった場合は、罰則規定が適用されるとなっています。
建設リサイクル法の届出は、建物の廃材が正しくチェックされたかを調べるために提出が必須となっています。
提出期限は、工事着手の7日前まで。
申請は原則として施主となっており、第三者への委任も可能です。
④ライフラインの停止
使っていた電気やガス、インターネットなどのライフラインは、解体工事前に停止または撤去しておく必要があります。
停止させてはいけないものは水道のみ。解体工事の際に使用するので停止しないように注意しましょう。
⑤道路使用許可申請(申請が必要な現場のみ)
解体工事を行う際には、申請が必要な現場のみ道路の使用許可申請が必要です。
これは解体工事を請け負う業者が申請するように定められているので、基本施主は申請を行いません。
提出期限は、工事着手の4日前までです。申請は、解体業者が行うようになっています。
⑥建築物除去届
これは、工事着手の前日までに提出しておきましょう。
申請は、原則として施主が行うようになっており、第三者への委任も可能です。
以上、6種類の必要書類に関して説明しました。
2.必要書類は各自治体の管轄窓口へ
書類の提出先は、原則として各自治体の管轄窓口となっています。
諸事情により窓口での提出が出来ない場合、郵送での提出を受け付けているところもあるので事前にご確認ください。
3.うっかり提出を忘れて… 罰金が科せられるものもあるので注意を!
必要書類の中でも、【アスベスト除去の届出】と【特定建設作業の届出】は罰則・罰金などが科せられる場合があるので気をつけましょう。
【アスベスト除去の届出を忘れた場合…】
万が一、アスベスト除去の届出を怠った場合は、3ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるので早めに申請するように心がけましょう。
建築物によっては申請が必要ない場合もあるので細かくチェックすることをおすすめします。
【特定建設作業の届出を忘れた場合…】
地域によって届け出の提出が遅れた場合に、罰則規定が設けられていることもあるので、特定建設作業の基準を確認するとともに提出期限のチェックも行いましょう。
その他にも地域ごとで異なった規定がある場合もあるので、自治体へ直接問い合わせるか、公式ホームページなどで見ておくと良いかもしれませんね。
まとめ
以上、解体工事の事前申請についてまとめました。
この記事を読んでも「分からない単語が多くて理解できない」、「一人で出来るか不安」と思う方もいるはずです。
申請書類の準備や提出を自分一人で行えるか自信がない方は、少し費用がかかっても不備がないように業者に依頼するのも良いと思います。
ご自身の状況に合わせて、解体工事前の申請を忘れないようにしましょう。